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声明・見解

2008年6月24日

「教育振興基本計画」などに関する文部科学省と財務省の議論について(談話)を発表しました

 日高教は、「教育振興基本計画」に関する文部科学省と財務省の議論について、小池由美子教財部長の談話を発表しました。

  「教育振興基本計画」などに関する文部科学省と財務省の議論について(談話)


                                                          2008年6月18日

                                           日本高等学校教職員合

教財部長 小池 由美子

はじめに

 4月18日の教育振興基本計画に対する中教審答申では、危険度の高い小中学校校舎1万棟の耐震化支援など一部を除いて、具体的な中身が盛り込まれませんでした。「この答申で最も注目されたのは、教員を増やすなど予算のかかる措置が具体的にどう描かれるかだった。・・・ところが驚いたことに、答申には具体的な提言が見あたらないのだ(4/19朝日新聞社説)」など、各方面から批判が相次ぎ、学校現場からも怒りが噴出しました。これらの批判を受けて、5月の文部科学省原案では2008年から5年間で教職員を2万5000人増やし、GDP(国内総生産)に占める教育への公的支出を今後10年間で現在の3.5%から5.0%を上回る水準をめざすことを盛り込みました。
  教職員定数増については、改悪教育基本法の具体化である「新たな職」や「メリハリある給与体系」、「新学習指導要領」がらみという一面を持っています。しかし、政府が「骨太の方針2006」で純減を上回る教職員定数減を打ち出している中で、国民世論によってこれまでの構造改革路線が、思惑通りにいかなくなっていることの表れです。
 また、教育費がGDP費の5.0%に引き上げられれば、7.5兆円の予算となり、日高教がこの間求めてきた高校教育費の無償化など、ゆきとどいた教育をすすめることができます。これは、20年間積み重ねてきた3000万署名や教育全国署名と、教育基本法改悪反対闘争で、「教育予算増」「教職員定数増」を附帯決議に盛り込ませた私たちの運動と世論が切り結んだ成果であると言えます。

1.財務省反論の概要
  しかし、この教育振興基本計画に対して、財務省主計局文部科学係は「教育予算をめぐる論議について ~ 事実に基づいた教育政策のために ~ 」という反論を行っています。その主な論点の概要は①国民の関心は、予算額や教員数・給与といった「投入量」ではなく、教育による「成果」ではないか②教育振興基本計画は、教育によりどのような子どもを育てるのかといった「成果」指標で目標設定すべき③課題は最小の投資で最大の成果を挙げる予算の使い方④むしろ、教育の質を問うていくことが必要なのではないか、というものです。この財務省の文部科学省批判に対して、以下の問題点を厳しく指摘するものです。

2.教育への財務省の介入
 まず問題の第一は、教育予算という国家の重要問題を、教育の専門家ではない財務省が事細かに介入していることです。どの子にもゆきとどいた教育を、そのために教育予算の増額をと願う国民世論を、国民の関心は「投入量」でなく教育による「成果」にある、とねじ曲げています。これは新自由主義的な、教育を経済効率優先の発想でとらえるものであり、財政面からの教育政策への介入となります。教育予算の編成原理は、教育の重要性、本質・条理に基づく教育条件の整備であり、教育の専門的知見や教職員・保護者・国民の要求を十分に考慮されるべきです。

 3.教育振興基本計画は教育条件整備のためのもの
  第二に、教育振興基本計画は、改悪された教育基本法においても謳われている「人格の完成」や「教育の機会均等」のために、教育条件整備をめざすべきものです。そこに財務省が、「どのような子を育てるのか」といった「成果指標で目標設定すべき」とすること自体が誤っており、人格の完成をめざす教育を世界トップクラスの学力や規範意識の育成にすり替えようとする危険性をもはらんでいます。

4.財務省のデータを持ってしても日本の教育予算の低さはくつがえせない
 第三に、財務省は反論の根拠として、「わが国の教育予算は、主要先進国と比べて遜色ない水準」として様々なデータを「事実」として挙げています。しかしそのデータをもってしてもOECD30カ国中、GDP比は最低ランクということに変わりはありません。また、「生徒一人当たり教育支出」では、私費負担がG5の中でアメリカに次いで最高ランクであることにも口をつぐむという無責任さです。極端な少子化の主因に高額な教育費が家計に重くのしかかっていることへの反省も全く見られない、という重大な問題があります。

5.文部科学省は国民に責任を果たすために再反論すべき
  その他、財務省が「事実」としてあげたデータに対して、文部科学省は5月19日に再反論をまとめています。OECDに比べ見劣りする教育予算、生徒一人当たりの教育予算の比較をドルベースで示すと日本は低い、OECDのPISA調査の結果では、一人当たり教育予算と学力に明らかな関係性がある、などを示していますが、再反論のすべてを公表しているわけではありません。これは文部科学省自身が、教育の国家統制をねらい、新自由主義的な競争によって、企業にとって都合のよい「人材」育成の推進を目指しているために「成果」を強調していたからに他なりません。文部科学省が、国の教育行政機関として真に責任を持つならば教育予算の増額を願う国民の声に応え、財務省の反論に対して明確な再反論をすべて明らかにすべきです。

6.予算編成の抜本的転換を
 財政制度等審議会議が6月3日に「平成21年度予算編成の基本的考え方」についてとりまとめましたが、これは財務省の「教育予算をめぐる議論について」の立場に立ったものと言わざるをえません。教育は経済効率優先で行われるべきものではなく、また財源がないと言う口実で消費税の増税論議にすり替えられるものでもありません。教育や社会保障を切り捨て、大企業優遇、軍事優先、無駄な大型公共投資型の予算編成を抜本的に転換させる必要があります。

 日高教は、貧困と格差が広がり、子どもたちの修学と進路が脅かされる深刻な実態を告発し、憲法26条の教育を受ける権利を保障するための教育予算の増額を求め、父母・国民の皆さんとともに全力をあげて奮闘するものです。

 

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