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声明・見解

2008年7月 3日

教育振興基本計画に対する中央執行委員会の見解を発表しました

 7月1日に閣議決定された教育振興基本計画について、日高教は中央執行委員会の見解を発表しました。

                閣議決定された教育振興基本計画について(見解)

                                  2008年7月3日
                         日本高等学校教職員組合中央執行委員会

 政府は、7月1日の閣議で教育振興基本計画を決定しました。これは2006年12月に改悪された教育基本法にもとづいて初めて作成したものです。この基本計画は、多くの国民が期待する教育条件の改善につながらないばかりか、管理と競争の教育をいっそう強め、教育内容への介入・支配に道を開くとともに、「構造改革」路線にもとづいて、「戦争する国づくり」政策に教育を従属させる、危険極まりないものです。日高教は、教育振興基本計画の撤回・見直しを強く要求します。

(1)この基本計画は、4月18日の中央教育審議会総会で決定された「教育振興基本計画について(答申)」をもとに作成されたものです。
 この答申に財政措置や教職員定数改善の具体的な内容が盛り込まれなかったことに対して、各方面から大きな批判がまきおこりました。その批判に押され、文部科学省は「教育支出を10年間で国内総生産(GDP)比5%に引き上げる」「教職員定数を5年間で2万5千人増やす」などを打ち出そうとしました。しかし、「歳出削減」を主張してまったく譲歩の姿勢を見せない財務省に屈服して、こうした数値目標を取り下げました。これは、教育支出のGDP比がOECD加盟国平均を大きく下回り、加盟28カ国中下から2番目(OECD2007年調査)という水準を少しでも改善し、少人数学級の実現など教育条件の整備をすすめて、教育現場が抱える困難を解決しようとする父母・国民と教職員の願いを裏切るものです。
 ここから明らかになったのは、第1に、アメリカいいなり、大企業中心の自公政権のもとですすめられる「構造改革」路線と、「教育をよくしたい」「子どもたちに最善の教育環境を」と願う国民の教育要求が真っ向から対立することです。教育振興基本計画に関する文部科学省と財務省の「論争」では、「構造改革」路線のもとで、教育・福祉・医療など国民生活にかかわる予算削減と国民犠牲の大増税に邁進する財務省の姿勢がはっきりとしました。
 第2は、文部科学省が改悪教育基本法と改訂学習指導要領にしがみつき、「構造改革」路線の枠の中でしか対処できない限界と決定的な弱点が明らかになったことです。その姿勢からは、財務省の論点を打ち破れず、財政抑制政策に対抗できないことは明白です。
 文部科学省と財務省の「論争」については、6月18日付の教財部長談話で日高教の基本的な考えを表明しています。行革推進法など、教職員定数の削減と教育予算の抑制をすすめる「構造改革」路線を転換することが強く求められます。

(2)基本計画は、政府の「骨太の方針」と同様、教育政策のあらゆる面に支配を及ぼす計画になっている点で、きわめて危険な性格を持っています。
 基本計画では、学校教育以外の分野でも、家庭教育、社会教育、地域のスポーツ振興など多岐にわたる問題について、相当踏み込んだ提言をしています。大学教育に対しても、その自治をおびやかす乱暴な介入をねらっています。また、「メリハリある教員給与体系」と称して、「がんばる教員の適切な処遇を推進する」など、教員の身分・労働条件にかかわる重要な内容が含まれています。これらはすべて改悪教育基本法の具体化をすすめるということを大義名分としています。国民の批判に耳を傾けることなく、強引に成立させた改悪教育基本法の本質がはっきりとあらわれているものとして重要です。
 「教育の地方分権に向けた熱意が欠けている...。本気で分権に踏み出すなら、学習指導要領をはじめとして国の画一的な統制を緩める必要がある。計画にそうした発想はみられない」(「日経」社説)とあるように、教育を上から支配する発想しか持たない国・文部科学省の姿勢が国民から完全に見放されていることを自覚すべきです。

(3)日高教は、4月18日の中央教育審議会総会で決定された「教育振興基本計画について(答申)」に対する教文部長談話で、教育条件整備に関する具体的な内容や財政措置に触れられず、教育内容に対して露骨に介入し、「愛国心」のおしつけと競争の教育をいっそう強化する計画となっていることをきびしく批判しました。
 閣議決定された教育振興基本計画では、教育予算の増加に消極的であった答申と比較しても、いっそうの後退が鮮明になっています。
 教育予算について、答申では「必要な予算について財源を確保し、欧米主要国と比べて遜色のない教育水準を確保すべく教育投資の充実」を図るとしていたのを、「OECD諸国など諸外国における公財政支出など教育投資の状況を参考の一つとしつつ、必要な予算について財源を措置」(基本計画8ページ)となっています。
 焦眉の課題であった教職員定数の改善について、答申では「教員が子ども一人一人に向き合う時間を確保する観点から、必要な教職員定数を措置する」としていたのを、「...向き合う環境づくりの観点から、教職員配置の適正化を行う」(基本計画25ページ)とし、定数改善を放棄しています。
 道徳教育の教材について、答申では「国庫補助制度を早期に創設する」と突出して強調していたのを、「国庫補助制度等の有効な方策を検討する」(基本計画22ページ)と変わり、文部科学省にとっては皮肉な後退になっています。
 さらに、「規範意識」の強調、「全国体力テスト」などの項目を新たに入れ込み、改訂学習指導要領路線をいっそう押しつけるものになっていることは重要です。

(4)今回の事態を通して、いよいよ憲法の原則に立脚した教育の構築が求められることが明らかになりました。
 教育の諸原則は、国民の教育権を定めた憲法26条をはじめとした憲法の諸条項で規定されています。国際的には、国際人権規約や子どもの権利条約によって、教育の平等、無償教育の導入などが規定されています。今回の基本計画では、憲法違反の改悪教育基本法を押しつけ、憲法の諸原則をないがしろにしながら、「憲法26条に定める教育の機会均等の観点からも、教育は円滑かつ継続的に実施されなければならない」(基本計画43ページ)と、切羽つまって憲法を持ち出すなどの支離滅裂ぶりです。
 いま日本は「世界一の高学費」という不名誉なレッテルを貼られ、貧困と格差の拡大の中で、公立高校授業料の減免を受ける高校生が増え続け、経済的理由によって学校をやめざるを得ない若者が増えています。そういうときだからこそ、教育の諸原則に立ち戻って、教育の機会均等と教育条件の改善に向けて、国民的なとりくみが求められます。
 日高教は、そうした国民的運動の先頭に立って奮闘することを表明するものです。

                                                    以  上

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